健康ことわざ辞典

 株式会社グレインSP「お料理新聞」抜粋

 ■「お米のご飯の欠点はうますぎることである」

 90余歳まで長生きされた栄養学者の川島四郎先生が、かつてTVに出演したときのことです。お米がいかに優れた食品であるかを話したあと、アナウンサーに、「では、お米の欠点はなんですか?」とたずねられ、一瞬考えたあと、「お米のご飯の欠点はうますぎることである」と答えたのです。 すなわち、炊きたての白いご飯は、味噌汁や漬け物など、塩辛いおかずがあれば、それだけでおいしく食べられますから、タンパク質が不足し、塩分のとりすぎになりがちである。ということを言ったのです。タンパク質の不足で血管がもろくなり、塩の取りすぎで血圧が上がると、脳出血を起こします。塩はまた胃ガンの重要な原因のひとつです。当時は脳出血で亡くなる人が多かったし、日本は世界でも有数の胃ガンの多発国だったのです。
 だからと言って、お米のご飯が悪いわけではありません。タンパク質の不足と塩の取りすぎがよくないのです。その後、わが国でも食生活の改善が進んで、タンパク質や脂質を増やし、塩の摂取を減らすようになって、今や世界一の長寿国になりました。 ところが、今度はそれが行き過ぎて、ご飯よりも肉類をどっさり食べるようになりました。その結果、欧米人と同じように、心筋梗塞や脳梗塞、糖尿病、大腸ガンなどの病気が増えはじめたのです。
 一方、欧米では今、健康のためには日本食がとても優れているから、これを見習えという方向にきています。ご飯などの炭水化物を主食にして、肉や魚をおかずとして添え、さらに野菜をどっさりとるという日本的な食事がすすめられているのです。ご飯でおなかをふくらませれば、肉類の食べすぎが防げるのです。ところが、本家のわが国ではお米の消費量が減っていて、欧米的な食事に近づいています。ご飯を食事の中心にすえた日本人の食事のよさを、もう一度見直すべきところにきているようです。


健康ことわざ辞典

 株式会社グレインSP「お料理新聞」抜粋

■「やせ我慢は身の毒」熱中症のもと
 
 やせ我慢とは、必要のない我慢をすること、無理に我慢をすることをいいます。これは体にいいはずはありませんが、とくに暑い季節のやせ我慢は危険です。「炎暑のマラソンで倒れる人続出」「登山中に倒れ死亡」「夏の運動合宿で帰らぬ人に」など、熱中症による事故が報じられますが、多くは「もうちょっと我慢して、頑張ろう」というやせ我慢から起こっているようです。
 熱中症は、熱射病、日射病、暑気あたりともいい、高温の中にいて、水分が不足し、運動でさらに体温をあげるなどが原因で起こります。軽症のうちなら、涼しいところで休ませ、水分を補給し、体を冷やすなどすれば、間もなくよくなりますが、気づかずに放っておくと、重症になって死亡することもあります。
 朝食抜き、トイレに行かなくてすむように水分を控える、もう少しの時間と思ってのどの渇きを我慢するなど、水分不足はよくありません。ジョギングをしていて、もうひと踏ん張りと思って無理をする、夏の運動部の合宿で疲れや苦痛を我慢して頑張る、登山やハイキングで、仲間においていかれないようにと、疲れを我慢して急ぐなど、もうひと頑張りが原因になります。二日酔いで体は水分不足、朝食抜きで水分補給もせず、梅雨明けの蒸し暑い日、炎天下のゴルフ場で大汗をかきながらプレイするなどは、悪条件が重なり危険がいっぱいです。
 足のふくらはぎがけいれんする(こむらがえり)、数秒間失神して気がつく、体がだるい、めまい、頭痛などは、熱中症の危険信号です。すぐに、木陰や冷房の部屋など、涼しいところに寝かせ、衣類を脱がせ発汗しやすくします。スポーツドリンクなどで水分を補給し、冷えた缶ジュースや濡らしたタオルなどでわきの下やもものつけ根を冷やしたり、口に含んだ水を霧状に吹きかけて体を冷やします。意識を失っている、吐き気がおさまらないなどのときは、すぐに救急車を呼びましょう。


健康ことわざ辞典

 株式会社グレインSP「お料理新聞」抜粋

 ■朝食抜きはダメ!「腹が減っては戦はできぬ」

 若い世代の人たち、特に女性に、朝食抜きが目立ちます。それでも、健康で1日元気に働ければ、それはそれで結構です。しかし、朝食抜きの人たちの多くは、朝が弱くて、午前中はエンジンがかからないタイプです。朝は食欲がないから朝食を食べない、食べないからエネルギーが不足して、体温もあがらないし、血圧も低いままで、脳もなかなか目覚めてくれないのです。元気も出ない食欲もわかないという悪循環におちいります。
 ですから、朝が弱い人こそ、朝食を少しでもいいから食べるようにしたいものです。食事をすると体温が上昇します。暑いときは食事をしただけで汗が出てきますが、これは食餌性熱産生と言って、食べることによって体内で熱が作られるのです。体が温まれば、血液循環もよくなり血圧も上がります。体が活動的になってくるのです。また、食べ物を噛むことで、筋肉が動きます。筋肉が伸縮を行うと覚醒物質が生産されて、それが脳を目覚めさせてくれます。また、食事をすると血液中のブドウ糖がたちまち増えますから、脳や筋肉のエネルギー源も十分供給されるわけです。「腹が減っては戦はできぬ」というとおり、1日の戦いのためには、朝食をちゃんととっておくことが大切なようです。
 朝が弱いという人に、しばしば貧血が見られるといいます。貧血というのは、酸素を運搬するヘモグロビンが不足した状態ですから、酸素が足りなくてはブドウ糖が十分燃焼せず、エネルギー不足になります。貧血の改善には、栄養バランスのとれた食事が大切、それに加えて鉄分やビタミンCの豊富な、ほうれん草、パセリ、小松菜、海藻類、レバーなどを十分にとりましょう。
 また、朝だけじゃなく、1日中元気が出ないという中に、うつ傾向の人も見られます。これは早めに、心療内科や精神神経科などで診察を受けるよにしましょう。


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 株式会社グレインSP「お料理新聞」抜粋

 ■「冬至にゆず湯に入ると風邪をひかない」

冬至にはゆず湯、端午の節句にはショウブ湯に入るのが、わが国の古くからの習わしです。
冬至にゆず湯に入ると風邪をひかないのかというと、かならずしもそういうことはないと思いますが、ゆず湯やショウブ湯が健康や美容に効果があるのは確かなようです。
ゆずなどをお風呂に入れると、いろいろな成分がお湯に出てきますから、熱の伝導度がさがり、温度が高くても熱く感じなくなり、体を芯からよく温めることができるのです。
血液循環がよくなり、それが長時間保たれますから、全身に酸素や栄養がたっぷり補給され、老廃物も取り除かれます。疲労も回復し、健康増進に役立ちます。これは、温泉や入浴剤でも同様の効果があります。
また、果物の皮にはペクチンというタンパク質を分解する酵素が含まれていて、皮膚の表面の古くなった角質を取り除く作用があります。おかげで皮膚が柔らかくすべすべになって、美肌効果も期待できます。また、よい香りが心身をリラックスさせ、アロマテラピー効果もあるようです。
ゆず湯に限らず入浴は健康にいいのですが、一方で、入浴中に死亡する人も少なくありません。推計によれば、年間1万人を超えますが、これは交通事故死よりも多いのです。
熱い湯に我慢しながら入ると、血管が収縮するために血圧が急上昇して、脳卒中や心臓発作を起こします。命を失うほどではなくても、気を失って倒れるために溺死してしまうのです。
また、長時間温まりすぎるために、血管が拡張して血圧が低下し、気を失って溺死するケースもあります。温度感覚が鈍くなるために、温まり過ぎて熱中症で倒れるお年寄りもいます。
年をとってきたら、我慢するほど熱いお湯にはいるのは危険、またぬるい湯でも長時間の入浴は好ましくありません。ゆず湯に入るときも、ぬるめのお湯で、長湯はしないように。


◎お米の保存は生鮮食品並みに
 
■お米は生きています
 お米は乾燥しているので、生鮮食品とは思っていない人が多いでしょうが、実は野菜などと同じように、生きて呼吸しています。
 特に精白米は温度や湿度の影響を受けやすく、保管によっては鮮度が落ちます。産地のJAや消費地の倉庫では、お米の鮮度と品質を一年中よい状態に保つため、湿度は一定、温度は15度以下で貯蔵しています。まるで、上質なウィンを寝かせているような気の配りようです。
 
■精米したてがいちばんおいしい
 玄米から胚芽とぬかを除くのが精米です。精米したお米をおいしく食べられる期間は、季節によって違います。
 お米が収穫される秋から翌年の3月ごろまではお米の鮮度がよく、気温も低いので、おいしく食べられる期間は1か月くらい。春を迎えると、気温が上がってくるので、できれば3週間くらいで食べきりましょう。高温多湿の夏は半月くらいがおいしく食べられる期間です。ともかく大量に買い込まないことが、おいしいごはんを食べる基本です。
 
■精米日を確かめて買ってますか
 お米の袋には品種、産地などのほかに、精米した年月日が表示されています。お米はいわば生鮮食品ですから、おいしく食べられる期間を目安に買う習慣をつけましょう。
 それと、お米屋さんはお米の情報によく通じているプロです。仲よくしておくとメリットがあります。たとえば、家族の好みの味や家族構成などを伝えて、お米の銘柄を推薦してもらったり、買う量などのアドバイスを受けると、よりおいしい買い方ができるでしょう。


◎密閉容器に入れて冷暗所に置くのが理想
 
■密閉容器はお米の酸化を防ぎます
 お米の鮮度が落ちると、米粒が粉を吹いたようになります。これはお米が酸化してしまったためです。お米の中に手を入れてみて、手に粉のようなものがつく状態になったら、お米の味がだいぶ落ちている証拠です。
 お米の酸化を防いで品質を保つためには密閉容器に保存するのがいちばん。それも外から残りの量が見えるプラスチック製がおすすめです。自動的に必要な量だけ出せる米びつ器は使い勝手はよいのですが、四隅に残ったお米やぬかがたまりやすいのが難点です。
 保存容器はお米を使い切ったら隅々までよく洗い、乾燥させて新しいお米を入れるようにしましょう。
 
■置き場所は風通しのよい冷暗所に
 キッチンは火も使うので、ほかの部屋よりも温度も湿度も高くなり、お米の保存に適した冷暗所という条件にはあてはまりません。かといって、お米は毎日使うものですから、キッチンから離れた場所に置くのは不便。
 冷蔵庫に余裕があれば、密閉容器に入れて冷蔵するのがベストですが、そうもいかない場合が多いでしょう。当座に使う日数分はキッチンに置き、残りは納戸などの冷暗所を見つけて保存すると、鮮度が保てます。


◎残ったごはんは上手に保存を
 
■ジャー保温は5時間が限度です
 残ったごはんは、そのまま炊飯ジャーで保温しておくのが便利ですが、時間が問題です。炊飯ジャーで長時間保温すると、黄ばみがでたり、特有のにおいがついたりして香りも味も落ちてしまいます。これは、お米のでんぷん質が変化するのが原因です。
 おいしく食べるためには、朝炊いたごはんはお昼まで、お昼に炊いたら夕方までを目安にして、保温は5時間以内にします。宵越しの保温はおいしさが失われますし、電気代もかかって不経済です。
 
■冷蔵庫の保存は2日くらいまでに
 残りごはんは冷蔵庫で、もちろん数日は持ちますが、密閉容器に入れたり、しっかりラップをかけておいても、3日目くらいには、再加熱してもふっくらとしたごはんにはもどりません。これは、ごはんのでんぷんが老化しやすく、冷蔵庫の中でも老化は進むからです。
 冷蔵保存したごはんを電子レンジで加熱する場合は、お酒をふると、少しはふっくらしますが、チャーハンや増水にしたほうがおいしく食べられるでしょう。
 
■おいしさを保つには冷凍保存がいちばんです
 冷凍保存は、ごはんがまだ温かいうちにラップで包むか、フリーザーパックに入れて薄く平らにして密閉し、冷めてから冷凍庫に入れます。食べるときは、自然解凍ではなく、凍ったまま電子レンジで温めましょう。こうすると、残ったごはんも、炊きたてに近いおいしさに蘇ります。
 
                         全国農業共同組合中央会「お米なるほどセミナー」抜粋